天才少女の育て方

「おい。雫、髪の毛切ったのか？」
「そんなお金無いよ。これはカツラ。悪いけど、ヨクの机に入ってたやつを借りたから。」

「は！？」

「だめ？」
「いや・・・。いいんだけど。」

ヤバい・・・・・。似合う！コイツ似合う！ショートヘアーもいいな、おい！

いつもは、茶髪でちょっと毛先がカールしている。ロングヘアー。
イメージがガラリと変わった雫を見て、なんだか不思議な気持ちだ。

「でも、なんで？」
「さぁ？第一印象を大事にしようと思って。」
「ロングでも、十分いいと思うけど。」
「・・・・・・。」

勝った・・・・！初めて、雫を黙らせた・・・・！やった！







グイッ

誰かが雫の肩をつかんだ。
ヨクも、それに反射的に反応した。

そこには、一人の男が立っていた。

「あなた・・・転入生？」
「はい。」
「お名前は？」

きた・・・この質問。
でも、もう決めてるんだよね。別名を。

「中村　絵理（なかむら　えり）。」

えっ！？って感じの目で、ヨクが見る。

「絵理って呼んでね。」

雫は、落ち着いた様子で、その子と接した。
しかし、もう雫には分かっていた。

アイツも、部隊の一員だ　って事を――。

「そういえば、さっきのやつ見たことないな？誰だ？」

ほーらね。

（あらら。せっかく安全な場所ができたと思ったのに、また移動しなきゃ。）