everbody




-バタンッ




急に部屋のドアがあいた。

息切れした、珱の姿があった。

お兄はそうっと、部屋を出た。





「…バカッ!」





珱の耳があたしの耳と触れ合う。

ちょっと早い珱の脈拍。

泣き声の愛しい声。


「…どれだけ心配したと思ってんだよ」

「ごめんなさい」

この家に来て、ありがとうのごめんなさいを言ったのは初めてだった。

「…無事で、よかった…。本当に…」


嫌なはずの珱が、愛しくて。

あたしは、待っていてくれる人や守ってくれる人がいた。

嬉しくて、温かくて、やわらかい気持ち。

ありがとうじゃ、何度言っても足りないけれどせめて
目を見てありがとうと言わせて下さい。

「…ありがとう」

こんな5文字の言葉で伝わるわけないのにね。

そんな無謀な考えをしながら、ありがとうには感謝してる。

思いを伝える大事な言葉だから。
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