オトコノコの気持ち!


「そ。今日編入してきた子っしょー?」


「……まぁ」



『噂』って単語を聞いて、眠いのと頭痛もあってかもしれないけど、不機嫌になるあたし。

先生は相変わらず近距離で挑発的な笑みをしていた。



「……近いっす」

「あ、ごめんごめんつい」



スッと離れた距離から、微弱な風にのってほのかに、薬品のにおいじゃない、花の香りがした。



「肌綺麗じゃん。顔も可愛いし、センスもいい。モテる?」


「もっ……!?」


「フッ、かわいー顔真っ赤」



つん、と頬を突かれて、あたしは自分がまた赤くなったことを知った。



「噂ってなに」

「クスクス」

「わ、笑うな!!」




今だクスクス笑われてることが悔しくて、あたしはムキになった。…そのせいでかんだ。




「あはははは」

「笑うなってば!!」


「ごめん、つい……
んっとね、その頭と顔だね」



「はぁ?」



心底『はぁ?』って顔をしてやった。頭って、やっぱ髪?



「厳ついとか、校則違反とか」

「まぁどうせ、梓が可愛いからただのひがみだと思うけど」



『厳つい』は置いといて、
『校則違反』はまずいな……仮にもまだ二年だし。

確かに思えば、佐々木先輩も含めて黒髪が多かったような……。


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