お菓子の犬小屋




「…馬鹿か」


ペシッ


「いたぁい」


あの優しいアキちゃんすら目を合わせてくれない。

わかるわかると言ってくれてるハルちゃんだけがあたしの味方みたいだ。



「ご、ごめんなさ…」


「わ、わかるよ!だって好きな人だもんね!不安になっちゃうよね」


「…ハルちゃん……」


「甘やかすな!」


もう!って大きい声をだしたリエに、ハルちゃんもあたしもビクッとして縮こまった。

リエは怒るとむっちゃ怖い。



「片思いなのに…忙しいヤツ」

ザクッ

「レンはちょっと黙ってな」



リエが軽くレンくんを睨むと、レンくんは軽く息をはいた。


めずらしく優しい声色で言われた言葉だったけど、内容があたしの胸に突き刺さる。

確かに『片思いなのに』だ。



「あんた…」

「は、はい」

「馬鹿ね」


グサッ


「ななんで…」

「なんで!?こっちの台詞!なんであたし!?あたしが王子を?!なんで!」



はぁはぁと肩で息をつくリエに、申し訳ない気持ちで一杯になった。



「セリナは」



今までソファーに身体を預けて俯いてたアキちゃんが口を開いた。

ちなみにさっきからお説教されてるここは、ファミレスで。


みんなの前にあるのはまだ、店員さんがだしてくれたお水だけだ。

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