お菓子の犬小屋


「突っ走りすぎ」


はぁ、と息をはいて、アキちゃんは優しく笑った。

それだけで場が静かになる。
アキちゃんはすごいんだ。


「……ごめん、みんな
……リエ、ごめんね…」



「……あたしも、ごめん。

なんかうちらの中ってギャグってゆうかさ?
そういうのあったから…、流すのも笑いだと思って……。

でも、もっとちゃんと聞いてあげればよかった。
例えば何百回目でも」



「そうだね、親しき仲にも礼儀ありだね」

「ハルそれちょっと違くねぇか つか俺ら悪ノリしすぎたわ」



あたしが神経質になりすぎてただけなのに。

リエのいうとうり、いつもならわかることなのに。
流すのは笑いで、ちゃんと大事なことはいつもみんな真剣に聞いてくれてたのに……。


レンくんも珍しくちゃんと謝ってくれた。

あたしが悪いのに……。



「あたし、嫌な奴だったね」


あたしがしゅんとして言った言葉に返ってきた返事は……


「「「うん」」」


あたりまえだというように即答された笑顔の本音で


「ははっ」


アキちゃんだけが呑気に笑った。


それであたしがむっとしてふくれて、みんなでいつもみたいに注文して。



あたしが頼んだのはやっぱり、八条君の髪の毛の色みたいな

綺麗なレモンスカッシュ。


それで思い出す、
蜂蜜色した八条君。


だけどなんだか、

あたしの“嫌な奴”は
いなくなったみたいだった。


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