君の瞳に映る色
棗が玲の家に来て3日が過ぎた。

のんびり寝れたのは初めの
1日だけで、やはり癖なのか早く
目が覚めてしまう棗が朝ご飯は
作る事になった。

といっても、目玉焼きや簡単な
サラダとほとんど労力は
要らないのだが。

「図書館に行きたいな」

2人で食卓を囲みながら、不意に
呟いた棗に玲は顔を上げた。
なんで?と首傾げる。

「勉強してないと落ち着かない」

玲はフッと笑いを漏らすと、
お嬢様らしいなと言った。



いつも行くスーパーから
少し離れたところにある図書館に
行く事になって
2人して家を出た。

「はい」

外階段を下りると玲が
手を差し出してくる。

それは昨日も一昨日も同じで
棗の鼓動を乱す。

心臓が大きく打つのを感じながら
棗は差し出された手に
自分の手を重ねた。

力強く握り返されて心臓を
掴まれたように苦しくなる。




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