世界の穴に
雨が降るわけ
昔むかし、私達が生まれるずっと前のお話。

あるところに、大きな雲がいた。
湿り気を食べてはもっともっと大きくなり、やがて真っ白な体がだんだんと黒くなっていった。

雲は泣いた。

自慢の白い体が黒くなったのが、ただただ悲しかった。

長い間泣いていると、雲は自分が小さく、体が白くなっていることに気づいた。

雲は嬉しくなって、どこかへ走り去っていった。



その雲の涙が、雨のはじまりだという。
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