王子様のお妃候補?
きやびやかな王宮
ー王宮ー
王様は自分の執務室で先程からハルルクが持ってきた書類に目を通していました。
国自体は平和ですが、やはり問題が生じるもので書類には民や貴族たちからの要望や困っていることなどを書き記されています。王様はそれに対する対応策を講じたりしなければならないのです。
「ハルルク、アミンフェムール領で今、米の不作が続いているらしい。どうにかしないといけない。何かいい案はあるかな?」
「そうですね…。米が不足しているなら臨時として周りの地方から配給していきましょう。あと、日照りが続いても大丈夫なように新たに品種改良をできないか考える必要がありますね。」
「そうだね。あそこにも新しい特産品でも作っておこうか。」
そうして、二人は次々と書類の内容を確認していきます。
その姿は名君、名宰相と呼ばれるに値するものでした。
しかし、そこへ一つの慌ただしい足音が迫ってきました。
「…父上!!」
バンッと勢いよく執務室の扉が開かれ、そこには一人の青年が立っていました。
その青年の突然の登場に、王もハルルクも驚くこともせず、自然に迎え入れるように声をかけました。
「これは…シークラント王子。どうされました?普通はノックをしてから入るものですよ。」
入って来た人物ー…シークラントをハルルクは冷静に見つめていました。
「すみません。以後気をつけます。…しかし父上、どういうことですか?」
シークラント王子は、丁寧に頭を下げた後、厳しい瞳で王を睨みつけています。
「どういうこととは?」
わざと惚ける王にシークラントはより強く、その紫水晶の瞳を吊り上げました。
「父上、そんなことをして…分かっているのでしょう?私がここに来た理由を。」
「ほぅ?何があったのかね?」
「…っ!惚けないで下さい!!聞きましたよ!私に結婚の話が出ているそうですね!」
「うむ。それがどうかしたのか?」
「以前申し上げましたが、私はまだ誰とも結婚する気はないのです!!即刻、この話はなかったことにしていただきたい!」
毅然と言い張る王子に王は反対に飄々としています。
「それは無理だね。」