月見山の巫女
光陰、矢の如し
暖かな春の陽射し、心地よい風は昼寝には打って付けだ。


堅い床では頭が痛くなってしまうため、自身の腕を枕代わりにしていた。


そうして仰向けになりながらうたた寝しているのは、歳にして15、16位の少年だった。


気持ち良さそうに寝入る姿は、見る者も眠気を誘われそうだ。


しかし、辺りに人影はない。その空間に存在するのは少年と、天に広がる青空のみ。


誰かの視線を感じることもなく、気ままに時を過ごす事が出来るこの場所を少年はいたく気に入っていた。

少年の名を 佐久間浅香 と言う。
髪は黒いが色素が薄いため茶髪に近い。
周囲の同年代の者達と比べると若干背は低く、細身な身体で童顔な彼は実年齢よりも幼く見られがちであった。


ふわりと吹く風を受けて、髪がたなびく。彼がここに来てから既に3時間は経過していた。

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