【Transformation of Tony】トランスフォーメーション・オブ・トニー


『トゥルルルル‥トゥルルルル‥
はい、アーバンネット
システムズです!』


『あっ、お早う御座います。
営業三課の一宮ですが
内線302番お願いします。』


『畏まりました。
お繋ぎします…。
プププ‥プププ‥

はい、営業三課です。』


『あ、お早う御座います。
一宮です‥。
ちょっと風邪をひいた
みたいで‥今日、お休み
戴きたいんですが‥。』


『一宮さん?
酷い声ね。
しょうがないわね、
大丈夫?熱は?』


『あ、はい‥少し…
済みません…。』


『ちゃんと病院行くのよ。
今日はゆっくり休んで、
明日の資料は私がやって
おくから…。
課長には伝えておくわね。
お大事にね。』


『はい…済みません。
宜しくお願いします…。

プチッ‥ツーツーツー‥』


頭痛で頭も痛むけど、
仮病で心も痛む‥。

飲んで二日酔いでカラオケ
歌い過ぎで声が渇れてる
なんて絶対言えない。

高野先輩にも資料全部
任せちゃったし、

何やってんだろアタシ…。


麗子は自己嫌悪の塊に
なっていた。


とりあえずキッチンへ
向かって水‥。


『何これ…?』


シンクに置かれたボールの中に

濁った水と汚れたタオルが
浸けてある…


< 27 / 83 >

この作品をシェア

pagetop