愛の手

特別という言葉に首をかしげた。


あたしはなにもしていない。

したとしたら、殴られたくらい?




殴れるような女は特別だ、ってこと?



「ねぇ、お嬢」

前を歩いていた康平さんは突然立ち止まった。

見上げると、一点を見つめていた。



「お昼、食べましょうか」

「え、……は、はい」

予想してなかった言葉に、あたしは思わず同意した。

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