愛の手
自分勝手!!
あたしはイライラしながらバッグを手にした。
「どうしたんだよ」
「ゴメン、帰らなきゃ。迎えが待ってるから」
その場を去ろうとしたところで、礼央が肩をつかんだ。
急いでるっていうのに、なに?
「ポーチ、忘れてるぞ」
「あ、ありがと」
机の上に置きっぱなしだったポーチ。
中には貴重な化粧道具が入ってるんだよね。
危ない、危ない。
「じゃあ、礼央。また来週ねーっ」
「あ、おい。――…愛理っ!!!」
礼央の呼び声に適当に相槌をうち、あたしは全速力で校門へ向かった。