[短編]「I can't」
待ち続けて一週間が過ぎた頃、ついにその時が来た。



半ば諦め気味だった樹音の視界に、彰人の姿が映ったのだ。


あいにくその日は雨で、
傘で半分顔が隠れているが、
はっきり彰人だとわかった。



彰人の黒い傘が近づいて来た時、樹音は思い切って前に立った。



そして、そっと声をかけた。


「彰人…」

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