スピカ
翔歌が私に教えてくれたことはたくさんあった。
その中で一番素敵だったことは
あの夜に教えてくれたこと。
夜空にきらきらほしが輝いていて
屋根の上に翔歌と私と優太で川の字になってねころんで。
きらきら星を歌った。
「ねぇ、ゆうちゃん。あの星の名前はね」
「あの星?」
「春に見えるいっとうせいでね」
その星を指差して翔歌は教えてくれた
「スピカって言うんだよ。」
優太と私はそれが翔歌からのプレゼントなんだって思った。
「いつか、ぼくがおっきくなったら歌をつくるよ。」
「歌?」
「うん。僕のたいせつなたいせつな二人に送るんだ
大好きだよって気持ちの歌―――――。」