Flower -光を探して-
兄が出て行ってからも、私たちの感情に関係なく時は過ぎていく。

夏休みが終わるまで、あとちょうど1週間。


まだまだ暑い日が続く毎日だが、少しずつセミの鳴く声が少なくなってきた。

それだけで、気分的に涼しく感じるのは不思議だ。



私と母は毎日、兄に電話をして何とか連絡を取ろうとしていた。

まあ、いつも留守電になっていたけれど・・・。


今日バイトへ行く前に電話すると、『おかけになった電話番号は・・・。』という無機質な声が返答した。

慌てて母に伝える。

「和樹・・・、もう一生ここには帰ってくる気ないのね・・・。」

母がひどく落ち込んでいたが、私は励ますことも出来ずにバイトへ出かけた。
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