エースナンバー


私が女であることを隠そうと思ったのは、小学生で入ったリトルリーグでのことだった。





ずっと昔…
小学6年生のころ…
まだ女として野球していたころ…





それまでずっと一緒に野球をしていた仲間…




これからもずっと同じだと思っていた。





  □



地方のチームとの試合の時…


力の差は互角…

2-2

勝敗は、私の最後の打席に託された。







あと1打席…

1アウト…
ランナーはまだない。



左のバッターボックスに入り、脇を閉めて構える。



狙うは次に繋げるヒット…


大丈夫…私はたくさん練習した。
必ず打てる。


そう思って、ピッチャーから視線を外さなかった。


腕からボールが放られる。


緊張しているのか、肩が硬く張っているようにも見えた。



私はボールを見続ける…


ギリギリまで…
ギリギリまで…


――…?


まだ落ちない…



気付けばボールは目線のすぐ先まで来ていた。

反射的に目を瞑り、顔をそらす…




――…!!

途端に頭に衝撃が走った。




意識が途切れていく…



仲間の叫ぶ声が…
遠くなった…。


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