エースナンバー



「辞める気なんてないくせに、子供みたいなこと言うなよ…椎葉。
うちには夏の球を取れるキャッチャーはお前だけなの分かってるだろ?」

「そんなの知ったことか。
俺は本気だ。辞めると言ったら辞める。」


椎葉はとうとう口を真一文字に閉じてしまった。

上杉が深いため息をついて、横腹を押さえる。


「あ-…胃が痛い」

「胃炎持ちか?
苦労してるんだな」

俺が言うと頭をはたかれて、「お前が言うな」と怒鳴られた。



なんで俺が叩かれるんだ…


妙なモヤモヤが胸に残る。

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