エースナンバー
「椎葉…やめなよ。
捕る相手を選ぶのは下級のキャッチャーのすることだよ?」
「…夏」
やがて俺たちの中に美空が入り込んでくる。
「いくらお前の言うことでも…俺はこいつを許さない…許したくない」
「椎葉」
美空に呼ばれ、椎葉の表情が幼い子供のようになった。
「じゃあこうしよう。
麻生君には椎葉のガラスのハートを傷つけたペナルティとして、1ヶ月の投球禁止を命じます。」
――………!
「ね?いい案でしょ?」
ニコリと美空が胸を張って微笑む。
「ちょっと待て!
なんでそうなるんだよ!
俺は球を受けてくれって言ったんだ!
球を投げないなんて冗談じゃない!」
だいたい椎葉がガラスのハートって柄かよ!
例えるなら鋼鉄のハートだろ!
俺は必死に美空に向かって訴えた。
しかし美空は引く様子もなく…
「麻生君…人生には我慢しなくちゃいけないときもあるんだよ?」
と笑顔で言い放った。