本気の恋に出逢うまで
私はゆっくり美香の手をほどきながら言った。




「そんなぁ〜沙緒ぉ、お願いよぉ…沙緒で最後なのよぉ」




相変わらずの顔で美香は言う。




こういう時の美香は絶対引かない。




中学の時からの付き合いだから、だいたいわかる。




私がうんと言わない限り、今日は一日ついてくるだろう。




っていうか、私が用事あったらどうするんだって話なんだけど。


「ねぇ、美香…ちなみに私に用事があったらどうするの?」




今思った事を聞いてみた。




「へっ、沙緒、用事あんの?
今日はバイトもないからまっすぐ帰るだけだと思ってたんだけど」




ぽかんとした顔で、美香は呟く。


確かに今日はバイトないよ。




ない日はだいたいまっすぐ家に帰るけどさ。




ちなみに、美香とはバイトも一緒なので私のも把握してるみたい。




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