素直な気持ち~バレンタイン~




キーンコーンカーンコーン



早く帰って寝よっかな。最近寝不足だし・・・・



そんな事を考えながら教室を出ようとすると前に立ちはだかる大きな影。それはあたしの初恋の人、三浦翔太。整った顔と少しくせっ毛で整えられた髪。笑うと可愛い目と薄い唇。すっかり声変わりした男らしい声。そんな彼をほっとかない女子も少なくない。




「よう、さくら久しぶり」



「久しぶりって毎日学校で会うじゃん!」



「あはは、まあね」



そう言って苦笑いと浮かべた。


こんな風に軽い会話で昔の二人の面影がない。常に壁がある・・・と言ってもあたしが作ってしまっている。彼は普通に話し掛けてくるが、不器用なあたしは素直に話すことができなくて反抗的になってしまう。



「何?通れないんだけど!」



「もうすぐバレンタインだな」



「そうだね」



そう言ってあたしは翔太の体をどけて昇降口へ向かった。いつもこんな風に自分の気持ちに素直になれない。























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