電光石火×一騎当千
「ハイハイ、囮役ご苦労さん」
突然辺りに響き渡った声に、山賊たちが動きを止めた。
声に続いて、巨大な太刀を背負った若い男が樹木の陰から姿を見せる。
散切りにした鋼の如き銀髪。
鮮血の如き紅玉の瞳。
纏った漆黒のコートの裾をひるがえし、
若者は朱塗りの鞘を払って巨大な太刀を抜き放つ。
「な──何だてめえは!?」
正義のヒーローの登場だろうか。
色めき立ち、慌てて刀を構える山賊たちを無視して、
黒コートの若者は、囚われている娘に微笑んだ。
「なかなか色っぽい声出すじゃねーか。こっちまで興奮したぞ」
そう言う銀髪の下の面立ちは
絵から抜け出してきたかのように美しく、
彫像のように整っていて、
赤い瞳で微笑みかけられて陶然としない女はいないのではないかと思えたが──
「ごたくはいい。何人だ?」
その面差しにも全く心動かされた様子もなく──、
押さえつけていた娘が、
突如として氷のような声音で言って、山賊たちはぎょっとした。
突然辺りに響き渡った声に、山賊たちが動きを止めた。
声に続いて、巨大な太刀を背負った若い男が樹木の陰から姿を見せる。
散切りにした鋼の如き銀髪。
鮮血の如き紅玉の瞳。
纏った漆黒のコートの裾をひるがえし、
若者は朱塗りの鞘を払って巨大な太刀を抜き放つ。
「な──何だてめえは!?」
正義のヒーローの登場だろうか。
色めき立ち、慌てて刀を構える山賊たちを無視して、
黒コートの若者は、囚われている娘に微笑んだ。
「なかなか色っぽい声出すじゃねーか。こっちまで興奮したぞ」
そう言う銀髪の下の面立ちは
絵から抜け出してきたかのように美しく、
彫像のように整っていて、
赤い瞳で微笑みかけられて陶然としない女はいないのではないかと思えたが──
「ごたくはいい。何人だ?」
その面差しにも全く心動かされた様子もなく──、
押さえつけていた娘が、
突如として氷のような声音で言って、山賊たちはぎょっとした。