粉雪-3年後のクリスマス-
「そんなに気になるなら調べてみろよ。 どうせ、ヒマなんだろう?」

「………」


 あえて使ったその言い回しに頭にきた、とは思わなかった。


 気にならないといったら嘘になる。

けど、それを知ってどうなる。


 そんなジレンマみたいな考えが、ずっとぐるぐるとしていたから。


「約束、したんだろう?」


 ──そう。 俺ではない、誰かと。


「間違い電話でした、って教えてやる親切心からでもおかしくないんじゃね?」


 追い討ちをかけるような言葉。


 確かに、そうなのだ。

クリスマスに一人で待つ女の子のことを考えたら……




「なあ。…携帯番号から、調べられんのかな?」


 仕事のことも、カノジョのことも。

今、このときだけは、忘れていた。




「……そうこなくっちゃ」



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