ピンキーリング


まるで嵐のような人だった

意地悪で生意気で

でも

優しくて可愛い人だった




「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・何された?」

「・・・・・・」

「おい・・・」

「唇あたってないからっ!!」


多喜がキレるまえにあたしは逃げだした


「待てっ沙耶菜ー!!」



それからすぐ、追っかけてきた多喜に捕まってしまった


「まじむかつくし・・・」

「たあきぃー」

「・・・・・・ん」


多喜がハンカチを渡してきた


「これ沙耶菜のだよ?」

「だって今、沙耶のポケットから取ったもん」

「いつのまに・・・」

「ちゃんと拭いとけよな」

「・・・うんっ」



あたしが欲しいものを何でもくれる
多喜にはあたしの心の中が、見えちゃうのかな?

だからきっと、多喜には一生適わないね
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