この想いを君に… −あの場所へ−
1時間くらいして、ようやく涙が止まった。

きっと今の俺を見たら…

そーちゃんは笑うな…

『情けない』って言って。



ただ…救いだったのは最後に真由ちゃんへ。

『ありがとう』

そう、口が動いたのが見えた。



そーちゃんは真由ちゃんを愛していた。



結婚した当初はどこかよそよそしい雰囲気があった。

好き、というよりも成り行きで結婚。

それは俺も願ったから…

真由ちゃんのお腹にいる子供が死んだ兄ちゃんの子供で。

そのままいけば法的に苦しい立場になる子供。

だから…一番結婚出来そうなそーちゃんが引き取ってくれればいいのに。

…なんて、無責任な願いを掛けた。

そーちゃんは優しい。

その優しさに付け込んだ。



だから。

どこかでそーちゃんには悪い事をしたかもしれないとか。

後ろめたさがあったけど。

そんな事関係なしにそーちゃんは真由ちゃんを愛していた。



あのありがとう、には深い意味が込められているような気がした。
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