I ─アイ─


ガラガラ…



リビングのドアを開ける。



「え〜、相変わらずなんもなぁ〜」



ぼさぼさの頭を抱えながら、奈々は冷蔵庫を探る。



「なーんかないかなぁー?」



ガサガサ…



「あっ、ヨーグルト発見!

後はなんか買ってこ〜と」





チャララン♪
チャララン♪



「んー、おっ!杏奈じゃーん♪」



「もっし〜、どーしたのー?」



いつも通りに電話に出る


少し嫌な予感がするのは、気のせい?か……





「シー!!!ったく声でかいよ!

…トイレは響くのッ!!」



「え?何?今学校ー?」



「そうよ〜♪」


杏奈は何だか偉そうに言う。


「何だし、えらそーに…」


ブツブツと呟く。



「あっ、そうそう!
来るときにさ、チョコ買って来てよ、チョコ!!

それと〜まなが、
『ダイエット中だからぁ〜。0カロリーのゼリーにするぅ〜』
だって。

んで、ちっこいのがなんか言ってるから、喜びそーなの買って来て♪


今、給料日前なんだよね〜

てか今日給料入るからさ、夜飯でもおごってやるよ、

てことで、あと〜……


「イヤだ。もうイヤだ。」



杏奈の声をさえぎって、奈々はきっぱりと仏頂面で言った。



「違う違う!!ここからが肝心!!

こないだ……つか、

大分前に貸したCDさ、
借りたいって奴いるから持って来てよ♪

んで、こないだ言ってたCD貸してちょ〜

まぁそゆ事でよろしく頼んだ!

んじゃ、待ってんね〜

バイバーイ☆」




ブチッ、プープー…



……チッ…やっぱり……


「…出なきゃよかった…」



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