明日は
SCENE 10
 三学期が始まって数週間が経過した。

 子吉沢の父親は依然行方不明で生死さえわからなかった。所持金も一万円以下なので、生きている可能性も低い。自殺したと連絡すらないが、このまま永遠に見つからなくてもいいような気がした。

 墨丘のおかげで、勉強が面白くなり、高校進学も出来そうになったからだ。

 子吉沢は進学をあきらめていた。

 成績が悪く、試験に合格さえ出来そうになかったし、家庭的にお金の問題もあった。卒業したら働こうかと、漠然と思っていた。

 今は電車で一時間と、自宅から離れた公立高校に受験することに決定した。

 昼休みは相変わらず、真猿と克物が怪談話をしている。

 子吉沢はその輪に参加していない。
 
 美帆さえも誘わなくなったのだ。

 ホモ疑惑が原因だろう。だから、昼休みは教室にはいない。校舎の隅にいるのだ。

 もちろん墨丘とである。

 教室を出入りするのに、子吉沢と墨丘は別々に行動している。無駄な陰口を避けるために墨丘がやっているのだ。
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