拝啓、カミサマ【短編】
彼にはどうしようもないことを。
思わずには、いられないから。


「独りに、しないで」


勝手な私の都合。
愚かな執着心。


「…しないさ」


包むように私を抱きしめる彼は、低体温なのにどこか温かいから、気持ちが良い。


「君は快楽的で、それで投げやりだから、僕は意地でも生き延びて、君を独占していないとならない。そうでないと僕は簡単に君の中から消えてしまう」


彼の言葉が軽口だったとしても、私はすがるしかないのだ。

彼がいないと、私の世界は成立しないのだから。
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