背中あわせのふたりは

Ayaka



朝のニュースで、どこかの小学校に埋められたタイムカプセルが、十年ぶりに掘り起こされたと言っていた。


十年前の自分が十年後、つまり今の自分へ宛てた、"自分が望んだ自身になれているか"という内容の手紙とともに。


あの頃の自分が望んだ自身になれているか、と訊かれても、綾香にはyesと答えられる自信がない。


世間に背いた関係をつづけていることで、あの頃の自分への罪悪感は募る一方で、望んでいたはずの自分像さえも、すでに見失いかけている。


綾香は溜め息をついた。




──あの頃の自分は、一体何を望んでいたのだろうか。




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