背中あわせのふたりは

Takuya



彼女は、高校に入学して初めて逢ったときから、すごく目立っていた。


容姿が、というわけではなく、雰囲気が人目を惹くのだ。


あの独特な雰囲気に、人は魅了され、彼女に対して羨望の眼差しを向けていた。


だけど、それはすぐに悪意の眼差しに変わった。


理由はひとつ。


彼女自身が、自分の持つ魅力に気づいていなかったからだ。


彼女に対して悪意を、つまり妬みや僻みを持っていた人間が、彼女が発した言葉ひとつひとつに、ご丁寧に尾ひれを付けて言い回ったのだ。


尾ひれの付いた彼女の言葉に、周囲はさらに背びれやら何やらまで付けた。


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