キミの手 キミの体温
「アンタさ、なんで俺のこと名前で呼んでんの?」
「えっ……」
「いきなり名前で呼ぶなよ。馴れ馴れしい」
思いもしなかった宝珠の言葉に、再会に浮かれ切っていた頭を殴られたような感覚が襲う。
目を見開いて固まるわたしを見下ろす宝珠は、朝に声をかけた時より冷たい眼差しをしていた。
「……宝珠、なんで? わたしたち幼なじみだったじゃん」
動揺で声が震えそうなのを、必死で堪えた。
「わたし千愛だよ! 宝珠っ」
それでも宝珠の名前を呼ぶと、如何にも鬱陶しそうに顔を歪められて……泣きそうになる。
宝珠、なんでわからないの?