キミの手 キミの体温

千愛との恋愛が静なら白奈との恋愛は絶対に動だ。



今思えば。
ずっと千愛に未練を残してたのは、他の誰かを好きになるのが怖かったのかもしれない。



俺の一方的な気持ちに千愛を無理に付き合わせて振り回した後悔と焦燥感。


心のどっかで消化しきれなかったこれをまた繰り返すことに怯えてたのかもしれない。



でも、



「白奈が彼女になったら毎日キスしたげる」


「はぁっ!?」


「バージンも周ちゃんにあげる」


「ばっ!」


「白奈の全部周助にあげる! 白奈が周助を幸せにするよ」



キュッと首に回していた腕に力を入れた白奈が見たこともないくらいの満面の笑みを浮かべている。



白奈になら振り回されても俺が振り回してしまうって心配は確実になさそうだな……。



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