キミの手 キミの体温
「何言ってんだよバカ娘! だいたいキスなんか……」
「してないのっ? ねぇ? ねぇー?」
動揺してわたわたしながら上体を起こす俺に白奈は尚もギュッと体をくっつけてくる。
半ば無理矢理付き合わせてたんだ。
……キスなんて出来るはず無かった。
胸元から上目に見上げる瞳に一点の曇りもない。
冗談でも冷やかしでも無く本気で聞いてんだな、これは。
その分質が悪い。
「周助ってば!」
「うるせぇなっ! ……してねぇよ」
半分自棄で答えたら白奈の表情がパッと明るくなる。
このあからさまでわかりやすい反応が俺ばっかりを恥ずかしくさせていく。