淡い満月
 
 
「そうですよ。」


私は彼の言葉を待った。


責めたらいい。

馬鹿な奴だって、呆れてしまえばいい。



彼は薬を待っていない方の手をゆっくり持ち上げた。


殴られる…っ


私はとっさに目をキュッと閉じた。



薬を飲んだ直後に私を殴った親は

何をしてるんだ恥ずかしいことをするなと、意識が遠退く寸前の私を怒鳴り散らした。


そっか、みんな同じなのか。

そんな気持ちで彼の言葉を待った私は、彼の手が頬に触れるのを感じた。



そして、その手は頭の後ろに回り


「………!?」


驚いて目を開けたときには、彼にそっと抱きしめられていた。
 
 
 
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