淡い満月
 
 
もしかしたら、これがある意味一番辛いんじゃないかな。


「だめよ~。」

「ですよね…。」



食事が取れていない私には、これで命を繋いでいるようなもの。

やっぱり、やらないわけには…いかないか。




「くすくすくす…。」


「…!?」



明らかに看護師さん以外の声が聞こえてくる。

え、誰…!?







「いや、ごめん…っ。笑っちゃいけないんだろうけど、面白くて…。」




昼間、誰もいなかった隣のベッド。

今は笑いをこらえている男の人がいる。



「はい、やっと出来た。」


ちょうど点滴も成功した。
 
 
 
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