Chess
e2ポーンを、二歩前進。e4へ。

これによって、僕のクイーンが斜め右前方へ飛び出すことができる。

同時に、キング脇のビショップが、万が一d3のポーンを取られても補佐する。その補佐の補佐には、c2ポーンもいる!

彼女は、どう出るだろうか。

その細い指が静かに動き――クイーンを――持ち上げた!

斜めに走り、f6のルークを、倒した。

「っ」

何手も前からわかっていたことでも、ルークが倒されたこと、ついに虐殺女王が剣を抜いたことに、歯噛みした。

だが、クイーンへの対処は考えている。

歯には歯を、目には目をだ。

僕も、クイーンに手をつけた。

d1から一気に、h5へ!

最初の最初に、僕のポーンと衝突した黒チビを倒す。

これで、どうだ。

彼女が当初計画していただろう、右翼の防壁の薄さは、白いジョーカーによって緩和された。

ばかりか、最初の鏡写しだった彼女は、僕と陣形が似ている。

僕の右翼が手薄ということはそのまま、彼女の左翼が手薄ということだ!

彼女が落としたこちらの駒は、ビショップとルーク。

僕が落としたのは、ルークとナイト、そしてポーン。

戦力的には互角だ。

ここからが、二番勝負……!
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