とんでも腐敵☆パートナー
 それから場内に明かりが点る前に上映室を出るあたしと拝島さん。今観た映画のパンフレットを購入し、映画館の広い売店前の待合所で祥子たちが出てくるのを待つことに。
 
「これ面白かったですね~」
 
 待合所の椅子のない高いテーブルにつき、あたしは思いっきり伸びをした後に言った。
 
「あーいうの好きなんだ」
 
「うん、バカバカしいの大好き! あ、祥子が好きって知ってるってことは、祥子には内緒にしといてください。ばらしたって分かったら後で大目玉食らっちゃう」
 
「そっか。でも意外だなぁ。祥子ちゃんがああいうの好きだなんて」
 
「そこが祥子の萌えポイントなんですよ!」
 
「萌え……?」
 
「あ、いえいえ、なんでもありません」
 
 慌ててパンフレットを振る。
 拝島さんにはオタク用語は通じないらしい。
 
 祥子達はまだ上映室から出てこない。結構満員だったから手間取ってるんだろう。
 
 あたしはパンフレットを開き、なかなかのイケメンだった主演男優の顔写真を眺めながら二人を待った。
 
 ついでに脳内で、チームメイト役のもう一人の美形と絡ませたりして。うへへ。
 
「あ、二人が出てきたよ」
 
 拝島さんの言葉にはっと顔を上げる。
 
 確かに祥子と高地さんだ。祥子の顔がやや赤らんでる。何かを堪えてるみたいに。
 
 あたしと拝島さんはテーブルに肘をついて肩を寄せ合い、パンフレットを覗き込みながら映画の感想を熱く語る兄弟のフリをした。
 
「あ~~面白かったね、祥子ちゃん」
 
「まぁまぁね」
 
 前を横ぎる二人の会話に耳をそばだてる。
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