とんでも腐敵☆パートナー
 すかさずあたしは二人の背後に回り、そのベンチの後ろの植え込みに、ほふく前進で近付いていった。
 
 付き合いのいい拝島さんも、並んで一緒にほふく前進するというお茶目振りを披露してくれる。
 
「けっこう面白いね、こういうのも」
 
 随分楽しそうですな。囁きかけてくる小声は若干浮かれ気味。
 
 拝島さんも隠密行動に目覚めてくれたようでなによりです。頭の中で朽木さんが「拝島に妙なこと教えるな!」って怒ってるけど。
 
 スパイのロマンがわからん攻め男はだまらっしゃいなのだ。
 
 あたしと拝島さんはじりじりとベンチに近付いていき、あたしの背丈ほどの低木の下に潜んだ。
 
 葉っぱがわさわさと茂ってて助かる。後ろを振り返れば隙間からこっちの姿がちらっとは見えるだろうけど、ほとんど隠れてるのですぐにはバレないだろう。
 
 立て膝をつき、葉の隙間から目を凝らし、二人の背中を見守る。
 
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