とんでも腐敵☆パートナー
「ふ……ふふ……」
 
 突然低い忍び笑いを洩らすあたしを、拝島さんが訝しげに横目で見る。
 
「どうしたの栗子ちゃん?」
 
「くっくっくっ……。たぁ~かぁ~ちぃ~~。祥子に何かしたら…………殺す♪」
 
 ポケットからスタンガンを取り出して構える。一撃必殺。こんなこともあろうかと用意してきたのだ。
 
「く、栗子ちゃん落ち着いて。……って、すでに呼び捨て?」
 
 ええ呼び捨てですとも。くっくっくっ。
 
「えっと、あれでも高地は嫌がる子を無理矢理どうこうしたりしないと思うよ……多分」
 
「本当に? 絶対に?」
 
 じっと拝島さんの目を見て問うが、拝島さんは曖昧な笑みを浮かべて、ふいと視線を明後日に向ける。拝島さんも自信ないらしい。
 
 さすがの拝島さんも、そこは完全に否定はできないか。
 
 
 
 祥子と高地さんはまたしばらく公園の中を歩き、心地良い海風と柔らかな風景を愉しんでるようだった。
 
「こういう所でベンチに座って本を読むのもいいよね」
 
「……そうね。悪くないかもね」
 
 そんな会話が聞こえてくる。
 
 高地さんも、過剰に女好きなところと、お調子者なところさえなければ、あたしだってそれほど警戒はしないんだけどな。欲をいえば、これでもっとイケメンだったらなぁ……。
 
 やがて噴水のある広場に行き当たり、二人はその会話のままに、自然とベンチに座った。
 
 一見爽やかな雰囲気なんだけど、あたしの目は誤魔化せない。ここでまたセクハラアンテナがピキーンとセクハラ警告をキャッチした。
 
 座る直前にさりげなく距離を縮めたましたヨあのツンツン頭。
 
 おにょれいいムードに持ってく作戦かっ!
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