とんでも腐敵☆パートナー
 なんとも無粋な横槍を入れられ、俺はこめかみを引き攣らせた。
 
 誰だ? まさかグリコじゃないだろうな?
 
 もし、その『まさか』だったらどうしてくれようかとシンクからフライパンを取り出し玄関に向かう。
 
 最近なにやら調子づいてるあの腐女子は夏休みの間中、何度もしつこくここへの侵入を試みた。
 
 下着を盗もうとしたり、盗聴器を仕掛けようとしたり、目に余る犯罪者ぶりを発揮したので、拝島に「グリコは絶対に連れて来ないで欲しい」と頼み込み、一応は静かな暮らしを取り戻したのだが。
 
 代わりにチャイムに応えて出ると、いつグリコが飛び込んで来るか分からないという事態に悩まされるはめになった。
 
 やはりそろそろ本気で息の根を止めておくべきか?
 
 そんなことを考えつつ用心して扉を開けると。
 
 
「先輩――」
 
 
 そこに立っていた俺より頭ひとつ分小さい人影に、ぎくりと体が強張った。
 
 
「章――」
 
 
 沢渡章(さわたり あきら)。
 
 俺の後輩だった。
 
 
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