とんでも腐敵☆パートナー
「俺を引き取りたいんだそうだ。もちろん即座に断ったけどな。……まぁ、それだけのことだよ」
 
「そ、っか……」
 
 拝島の表情に翳りが生まれる。俺は拝島のこんな顔をあまり見たくない。
 
「大したことじゃないんだ。少し驚いただけで。気にしないでくれ」
 
「ん。分かってるよ。俺がどうこう言っても朽木が置かれてる状況は変わらないし。きっと、何もできない……」
 
「できないことはない。こうして一緒に居てくれるだけで……」
 
 思わず口を滑らせてぎくっと体が強張った。
 
 その後の言葉を慌てて飲み込む。
 
 やばい。こんなところで告白してしまうところだった。
 
 今、拝島を失うわけにはいかない。
 
「そうだね。俺にできることは、こうして一緒に、山の空気を吸いに行くことくらいだけど……」
 
 拝島に気付いた様子はない。ほっと安堵の息をつく。
 
「でもさ、もし少しでも心が軽くなるなら、何でも話してくれよ? 俺だけじゃない。高地でも、栗子ちゃんでも――みんな、きっと朽木の力になってくれるよ」
 
 ぐっ
 
 誤魔化すために飲み込んだ紅茶を喉につまらせる。
 
 なんでそこでグリコが出るんだ? 高地はともかくとして。
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