とんでも腐敵☆パートナー
「やぁ、栗子ちゃん。食べに来たよ」
 
 拝島さんがいつものキラキラ笑顔でカウンターの向こうに立つ。
 
「仕事中に客を馴れ馴れしく呼ぶな。真面目に接客しろ」
 
 朽木さんはいつものぶすっとした顔でお小言を言ってくる。お小言は標準装備として、ちょっと不機嫌さがいつもより三割り増しくらいになってるみたい。
 
「だってー朽木さんも拝島さんも久しぶりなんだもーん」
 
 言いながら感激のあまり小躍りしそうになる。頬は緩みっぱなしでしばらく元に戻りそうにない。
 
「久しぶりってほどでもないだろ。二週間ぶりくらいじゃないか?」
 
「二週間! もう二週間も生姿を拝んでなかったんだ~~。あーっ、カメラ持ってくれば良かったですー」
 
 そうなのだ。ここのところ忙しかったあたしはなかなか朽木さん達のストーキングに行けなくて、今すんごい久しぶりに二人の顔を見れたわけなのだ。そりゃ小躍りもするって。今なら月面宙返りもできるかもしれない。
 
「もういっぱい撮っただろ……」
 
「まだほんのアルバム十冊分ですよ! 夢の百冊までまだまだです!」
 
「百冊も撮る気かっ!? 肖像権侵害で訴えるぞっ!」
 
「あはははっ。相変わらずだね、栗子ちゃん」
 
 拝島さんの屈託のない笑い声が随分懐かしく感じる。あーこれよ。これが見たかったのよー。もうほとんど中毒症?
 
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