とんでも腐敵☆パートナー
「……言いたいこと……?」
 
「そうだよ。胸に溜まってることは全部吐き出さなきゃスッキリしないでしょ?」
 
「僕が先輩に……何を?」
 
 あ~~もう。この人は自分を押し殺すのに慣れすぎてる。
 
 どうしてそんなに距離をとるかなぁ? 堂々と朽木さんに近付けないかなぁ?
 
「章くんは、朽木さんと別れたくないんでしょ?」
 
「それは……そうだけど」
 
「なら諦めずに言わなきゃ。朽木さんの傍にいたいって。朽木さんが必要だって。今更一方的なお別れを言われて納得するの? 納得できないんでしょ?」
 
「でもそれは僕の身勝手な……」
 
「身勝手がどうしたっての! やることやったんなら、責任は朽木さんにもあるの!」
 
 ギンッと章くんを睨んで怒鳴った。
 
 驚いた顔で声を詰まらせる章くん。
 
「グリコ! お前が口出しすることじゃない!」
 
「被告はしゃらっぷ! 章くんの気持ちもよく考えずに一方的な別れを切り出す攻め男に発言権はない!」
 
 止めようとする朽木さんの口にピタッと指を突きつけ、黙らせる。
 
「章くん! 言って! どうしたいの? どうなりたいの? なんで朽木さんが必要なの? 本当の気持ちを全部ぶちまけて!」
 
 声を大にして煽りまくった。脇にどいて、朽木さんと章くんを対峙させる。リビングと玄関を結ぶ短い廊下の端と端。ちょっと距離はあるけれど、確かに二人は向き合った。
 
 さぁ――殻を壊して章くん。
 
 朽木さんの本音を引き出して!
 
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