とんでも腐敵☆パートナー
『法律関係以外で、何かやりたい事はないのか?』
 
『やりたい事……? あ、それなら僕、先輩の力になれる事がしたいです!』
 
『俺の?』
 
『ええ。僕、先輩に凄くお世話になってるから。僕にできることがあれば何でも言ってくださいね』
 
『そういうことを言ってるんじゃないんだけどな……。まぁ気持ちだけもらっておく』
 
『僕にできることはあんまりないけど……。例えば、誰かに話を聞いて欲しい時、僕でよければ聞きますし、誰かに傍にいて欲しい時、僕が傍にいますから』
 
 そう言って屈託なく笑う。その笑顔がどこか拝島と似ていて。
 
 傍にいると、優しい気持ちになれるような、心が温かくなるような、そんなところがどこか拝島と似ていて。
 
 こいつは拝島じゃない。
 
 拝島に抱く感情を、こいつに感じることはない。抱けばお互い傷付くだけだと、分かっていた筈なのに。
 
 なのに――俺は己の欲望に負けた。
 
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