とんでも腐敵☆パートナー
 岸にあがって全員集合し、お昼ご飯をどうするかの相談になって。
 
「あたし、おにぎり作ってきました!」
 
 勢いよく手を挙げて主張したのはもちろんあたし。
 
「へぇ」
 
 朽木さんが意外そうな顔をする。
 
 へへん♪
 二度も朽木さんの手作りご馳走になったから、あたしも女として負けられないと思ったわけさ。
 
「ちゃんと食べれるものになってるのか?」
 
「失礼な! ちゃんと味見もしてきました!」
 
 味見の段階で何度か絶叫をあげたけど。
 
 と、口をつぐんでた真昼がここであたしを見て言った。
 
「あたしも少し作ってきたから丁度いいわね。グリコのとで合わせてお腹足りるでしょ」
 
「えっ……真昼も作ってきたの?」
 
 それは結構意外。
 真昼ってお弁当手作りするイメージじゃなかったんだけど。
 
「考えてみれば、グリコと祥子と三人揃って海ってのもなかなかないでしょ? ちょっと張り切ってみたんだよね。友達とワイワイお弁当つつくのも、楽しそうだなって」
 
「ほえっ! なにその女前なセリフ! ちょっと胸にじぃんと来た!」
 
 惚れ直しそうだよ真昼!
 
「じゃあ、お昼ご飯はここで栗子ちゃんと真昼ちゃんのお手製弁当食べるってことで決まりだね」
 
 拝島さんがにっこり微笑んで言った。
 
 ちなみに今はパーカーを羽織ってくれてる。あたしがまだ慣れないからだ。
 
 でも実は、パーカーを軽く羽織ってる方が、鎖骨と胸板が隙間から色っぽく覗くので、かなり鼻血もんなんだけれど。
 
 朽木さんが、「出血多量で倒れたら海に沈めて帰る」って言うからなんとか我慢しているのだ。
 
「んじゃ、お弁当、車に置いて来ちゃったから、取りに行ってキマース!」
 
 ビシッと軍人敬礼して言う。
 
「あ、あたしも車の中。一緒に行こうかグリコ」
 
 と、真昼がそう言い、
 
「私も行こうか」
 
 祥子もあたしのもとに来た。
 
「じゃあ俺が荷物持ちになるよ」
 
 更に拝島さんまでやってくる。
 
 でも。
 
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