大嫌いでも大好きだから

とおいひと


梓が挨拶してくれた。
嬉しかった。


泣きたくなるほど、
幸せだと思った。




でも、
自惚れてはいけない。

信じてはいけない。




だって。

あの後からはもう何事もなかったように、
梓はわたしに冷たい態度をとっていたから。



「そう上手くはいかないもんだねー」

机にだらりと伏せている、
桃ちゃんのため息が聞こえた。
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