大嫌いでも大好きだから
「紫音!」
ふと名前を呼ばれた。
わたしはきょとんとしながら、
声のした方を向く。
「水稀」
彼女が笑顔でこっちにやって来た。
水稀の笑顔は大人っぽい。
羨ましいくらい優雅で、凄く綺麗。
今日はなぜか、
その頬が朱色に染まっていた。
「どうかしたの?」
「うん。あのね、あたし今日…西野に告るつもりなんだ」
そう言うと、
水稀の顔がもっと赤くなる。
わたしは何も言えず、
一瞬固まった。