大嫌いでも大好きだから

分かってる。
分かってた。

水稀は梓が好きなんだってこと。



告白。
いつかは来ると思ってた。


でもわたしはただ待つことしか出来なくて、
ただ流れに身を任せていた。



「…紫音?」

無言のままのわたしを、
水稀が覗き込んだ。


「あ、う、うん。頑張ってね」

それしか言えなくて、
そんな自分が泣きたくなるほど嫌い。

弱虫な自分が、嫌い。

< 29 / 59 >

この作品をシェア

pagetop