大嫌いでも大好きだから
田中智美先生は今年度から教員になったばかりの、若い先生。


栗色の緩やかなパーマに、
子供らしさと大人っぽさの両方が際立つ桃色のルージュ。

なによりすらりとした身のこなし。



そんな若さと愛らしさ。

なにより優しさが、
男子からも女子からも好かれる要因だった。



「今日はどうしたのー?」

柔らかな声で、先生が言った。

わたしは陽のよく当たる壁にもたれかかる。
暖かい…。


「聞いてくださいよ。今日数学の授業に当たっちゃって、かなりパニックでしたー」

「そっかそっかー」


そんな他愛のない会話をする。

でもそれが、楽しい。
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