天使はワガママに決まってる

「せな…「ごめん。エル。」


私はエルの言葉を遮って、
彼を私の体から引き離す。

改めて見つめたエルは、
とても不安げな表情をしていた。


「ごめん……エル。」


再度、今度はエルの目を見つめながら言う。

案の定、彼はきょとんとしたように
瞬きを繰り返すだけだった。


こんな純粋なロボットに、
憎しみや怒りの感情を抱いた自分が馬鹿みたいだ。


エルは、ちゃんと私を追いかけて来てくれたのに。


「ほんと、ごめん。」


3度目の私の言葉で、
エルはハッ、としたように私の肩を掴んだ。


「何で、瀬那が謝るの?
僕が瀬那を悲しませたのに。」


また、泣きそうなエルの顔。
私は軽く微笑んで、小さく首を振った。


「エルは何も悪くない。私が……」


エルがロボットだということも、
自分が彼に抱いた恋心も、
ただそれらを受け入れられなかっただけ。


そう続けようとしたが、
無意識に言葉を飲み込んでしまった。

――エルには恋が伝わらないのだから、
余計に話をややこしくさせるだけだ――


「ちょっと、やきもち焼いただけ。」
「やきもち?お餅?」


そう言って首を傾げたエルに、
思わず噴き出してしまう。

いつの間にか、私の中のもやもやとした気持ちは
どこかへ吹き飛んでいた。
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