lotlotlot2-ふたつの道-
お尻の痛みが、旅の終わりを告げる
僕のお尻は慣れない列車の椅子に、悲鳴を上げる寸前だった。それは友達のリーグも同じだった。二人とも苦痛に顔がゆがむ。
でも、それもあと少しだ。
僕たちの村が見えてきた。

「おい、イバーエ。村が、村が見えてきたぞ。」
さっきまでの苦痛にゆがんだ表情はどこに言ったのだろうか。リーグの顔は、満面の笑みだ。でも、僕も負けていない。
「ホントだ。あぁ、長かったね。」
「そうだな。お前の言術で飛ばされた時には、あっという間だったのにな。やっぱ、言術ってすげえや。」

言術と言うのは、僕が使える特別な力だ。と言っても、僕だけが使えるって訳ではない。じいちゃんも使えたし、それ以外にも何人も使える。
例えばリンゴが食べたいとしよう。それを強く念じる。そして、合い言葉のように言葉を唱えるとリンゴを手に入れる事が出来る。これが言術だって思ってもらえればいい。色々面倒くさい事もあるけれど、今はそんなのを気にしてられない。
だって、村に帰れた喜びでいっぱいで、それ以上難しい事を考えられないから・・・。
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